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科学技術社会論学会 (Japanese Society for Science and Technology Studies)  
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2008/11/22 土曜日 02:50:48 JST
 
 
第39回「科学技術社会論研究会」ワークショップ PDF プリント メール

第39回「科学技術社会論研究会」ワークショップ

「産学連携政策の行方を問う―大学の社会的機能を中心として:その2」

2004年5月22日(土)9:45-18:15
東京大学先端科学技術研究センター13号館 109号室

「科学技術社会論研究会」では、来る2004年5月22日(土)に、以下のワークショップを行います。ご関心をお持ちの方にご案内いたします。

準備の都合上、参加の方はお手数でも、10日前までに下記事務局(担当中村)までその旨ご連絡願います。会の1週間前には、発表梗概などの資料をお送りします。定員があります。ご承知おきください。

本研究会は、焦点の特定テーマを巡るone-day workshopであり、講演会ではありません。今回のテーマに関して、ご自身の課題、また発言されたいことなど、一言お書き添え下さい。討議の際の資料にさせていただきます。(先の38回ワークショップの際に頂いております方はその限りではございません)

また、終了後、同会場で簡単な懇親会(会費約1000円)があります。研究交流を深められたらと思います。参加の方はこの点も10日前までにお知らせください。

この案内は、転送自由ですので、ご関心の向きにお知らせください。

事務局では、随時、研究会企画の提案を受け付けています。詳しくは、ご相談ください。

事務局:
東京大学・中村征樹 このメールアドレスはスパムボットから保護されています。観覧するにはJavaScriptを有効にして下さい
国士舘大学・木原英逸


1.ワークショップの目的

先の、第38回研究会では大学の多様な社会的機能を「ナショナル・イノベーション・システム」の観点から理解するべく、特に産学連携政策に焦点をあてて批判的検討を行なった。議論においてはわが国で現在進行中の産学連携政策がアメリカ型システムの直輸入ではないかという問題提起があり、日米それぞれの産学連携の歴史に遡ってあらためてこの10年来の政策の意味を捉え直す必要が主張された。また、大学の「多様な」社会的機能の検討を目指しながら、議論が大学のもつ研究機能、知識生産機能に引きずられ、その視点からの産業との連携に偏りがちだったのではないかとの指摘もあった。

そこで今回は、産学連携が注目される背景にさかのぼり、産学連携の意義と問題性を討議する。また、大学の社会的機能をどうとらえ、社会制度としてどのように維持するかは、科学や技術を深く内在させた現代社会にとって本質的な問題である。ワークショップでは、可能なかぎり産-官-学関係や高等教育政策も展望しながら、わが国の産学連携政策を考え直したい。

2. ワークショップの時間割

9:45-10:00 趣旨説明

10:00-11:00 話題提供1(討論30分を含む。以下同)
   宮田由紀夫 (大阪府立大学・産業組織論)
   「産業政策としての産学連携――アメリカに見る可能性と限界」

アメリカでは19世紀後半に州政府が州経済のために州立大学の工学・農学を支援したが、連邦政府の役割はきわめて小さかった。連邦政府から資金を受け取ることは学問の自由が脅かされることになるとさえ考えられていた。第2次大戦をきっかけとして戦後は連邦政府から基礎研究の資金が大学に供給されるようになった。しかし、大学の研究支援は、国全体の科学技術予算同様、きわめて分権的に戦略性のない状態で行われてきた。一見、非効率だが資金そのものが潤沢であったことから、その成果が1990年代のハイテク技術となって結実している。
 アメリカでは連邦政府が特定の産業を育成する産業政策については、民主党が支持、共和党が反対という立場をとる傾向がある。1980年代に日本を意識して産業政策が議会で議論されたが、実行されたことは多くない。ハイテク産業政策を謳って登場したクリントン政権も議会での主導権を失ったため計画どおりに政策を実施できなかった。過去20年の産業政策論争の中で妥協案として実際に行われたのが、産官学連携の強化であった。産学連携を強化するバイ・ドール法もこの先駆であった。アメリカでも大学の研究成果は実用化には距離の有ることが多く、産学連携の成果は冷静に評価しなくてはならない。大学は国全体としては経済貢献していると推定されるが、個々の大学が得られる収入は少なく、政府からの財政支援なしでは生き残ることはきわめて難しい。

11:00-12:00 話題提供2
   西村吉雄 (技術ジャーナリスト)「いまなぜ産学連携か──企業の研究開発の視点から」

「中央研究所の時代から産学連携の時代へ」,営利企業の研究開発の視点からは,時代の方向を,こう要約できるだろう。この転換の背景に,自前主義から連携協力へ,大企業から中小ベンチャー企業へ,という変化が並行する。
 経済的価値の源泉として知識が重要になるという変化が,さらにその背景にある。元々、営利企業に研究は不可欠ではない。経済的価値(利潤)の源泉が工場現場における労働生産性の向上であれば,研究所も産学連携も要らない。たとえばトヨタ自動車はこれまで,本質的には中央研究所も産学連携も必要としてこなかった。
 自前主義から連携協力へ,が時代の方向だとしても,連携協力の相手がなぜ大学なのか。新しい知識は結局のところ,異質で多様な人と人との出会いと交流から生まれる。様々な人が出会って交流し,やがて出て行く,これを組織本来の機能としているのは大学だけだ。交流から知識が生まれれば研究が成ったということであり,その知識を身につけて出て行けば教育を受けたことになる。大学は出会いと交流のオープン・プラットフォームである。だから産学連携なのだ。日本の大学がオープン・プラットフォームか──それはまた別の問題になる。

12:00-12:30 レスポンス1
   小泉英明( (株)日立製作所・分析科学)

昼食

13:30-14:30 話題提供3
   澤田芳郎(京都大学・科学社会学)「大学モデルと産学連携――日本の産学連携史のなかで」

日本の産学連携は学問を産業振興の方法論の一つとして位置づけた明治初期にさかのぼる。しかし、国家機関としての大学が企業と顕示的な接触をもつことははばかられた。教授と企業の個別接触を促進したのが、大学への寄付金が寄付者の意向で配分されることを定めた「官立学校および図書館会計法」(1890)であった。戦後の占領政策下には、逆に公正取引法の思想のもとで国家公務員たる大学教官の企業との接触が強く制限された。ここでも「奨学寄付金」制度が資金ルートとして機能する。それは卒業生リソースとのバーター取引の面も持つようになっていった。
 ところが、1980年代の受益者負担論としての産学協同論を経て、1990年代後半以降、アメリカをモデルとする産学連携が期待を集めるようになる。科学技術基本法以降のさまざまな法制度改革もそれを促進した。しかしその中で生じているのが、「産のシステムとしての大学」「学のシステムとしての大学」という2つの大学モデルの激突である。関係者間の大学観の相違の中に産学連携の品質管理問題やコーディネータの威信問題が生ずる。大学自らが「産のシステム」たることを追求する場合に浮上するのが知的財産権の主張とその管理であるが、そのコストについても、過剰な知財重視の弊害も十分把握されていない。産学連携を刺激しようとする公的な補助金枠が「産学連携の箱物化」を促進するおそれもある。
 産学連携自体は、「学術を前提とする産業振興」を通して世界をより知的にする可能性がある。それは社会的なリソース配分のもとで学術研究も存立しうる現代社会において、当然期待されてよいことであるが、そのあり方についての議論は大学という社会制度の相対化を要請するだろう。

休憩

14:45-15:15 話題提供4(討論10分を含む)
   三宅満紀子 (麗澤大学・教育工学)
   「大学の教育的機能から見る産学連携――産業界の求める大学における情報教育に関する調査より」

従来の日本では、大学の新卒者には業務に必要な技術や知識はあまり求められず、新人研修や社内教育で企業が人材を育成することが多かった。
 しかし、人材の流動化が進んだこと等により、既に必要な技術や知識を身につけている新卒者を求める企業も増えてきている。最近では、学生自身も実際に産業界で使われている技術や知識の取得に積極的になりつつあり、各種資格への関心も高く、そのような教育への要求も高い。大学の重要な社会的機能の1つは「教育」であり、産業界で必要とされる教養や技術を身に着けた人材を育成する場でもあることを考えると、このような学生と産業界の要求に応える必要が認められるだろう。
 ところが、産業界の求める技術や知識と現在の大学の教育で身に着けることができる技術や知識とは、必ずしも一致しているとはいえない。これにはいくつかの要因が考えられるが、産業界と大学双方の情報交換の場の欠如も一因と思われる。産業界と大学との教育面における「産学連携」が、この情報交換の場の欠如を埋めるために必要とされている。
 今回の話題提供では、当方が企業を対象に実施したアンケート調査「産業界が大学教育に求める情報教育に関する調査」を元に、今後の産業界と大学教育との連携のあり方を探ってみたい。この調査では、企業が現在の大学教育をどのように捉えているか、また大学教育に対して何を求めているか、等の項目について企業側の回答を求めている。この調査は主として情報教育に関するものとなっているが、大学教育に対する産業界の捉え方としても参考になるであろう。

15:15-16:15 話題提供5
   桑原雅子・後藤邦夫 (NPO法人 学術研究ネット・物理学/物理学史)「知識社会における大学の役割」

先進国の社会-経済システムは、1970年前後にいわゆる知識経済の段階にはいった。その環境のもとで、大学は知識の生産と分配をおこなう経済的主体として新たな役割を果すことになった。組織と機能における改革が開始され、変化は社会と高等教育システムの相互の連関に及んだ。冷戦構造のもとで古いシステムが生き残り、変化は曲折に富んだものとなったが、主として80年代のアメリカでは、大学それ自体の創意に基づく多様な試みが展開され、政府や産業界を巻き込んだ潮流となってゆく。すなわち80ー90年代の大学主導の地域活性化アメリカンモデルが形成される。この間の展開を歴史的に分析し、現在進行中の日本の大学システムの変化、とくに「産学連携」のシステムとその運営について考察する。それに基づいて、将来のあるべき大学像についての問題提起を行う。なお日米の比較に関して特に留意すべきことは以下の点である。
 第一に、歴史的に国に対して自立していたアメリカの大学システムと、国家の強力な施策によって設置・運営されてきた日本の大学システムとの間には根本的な違いがある。したがって日本については有効な、国の政策をフォローする分析手法は、特に国家がイニシアティブを発揮した特殊ケースを除き、アメリカに関しては生産的ではない。モデル形成期の歴史とケース・スタディが重要である。
 第二に、大学を取り巻く地域の産業構造の変化と産業活動の国際化という要因を考慮しなければならない。それらの変化に応ずる中で多様な「ビジネス・モデル」が開発されたのである。

休憩

16:30-17:00 レスポンス2
   永田晃也(九州大学・科学技術政策)

17:00-18:15 総合討議
   司会 澤田芳郎(京都大学)

18:15-19:30  懇親会

お問い合わせ・連絡先

科学技術社会論研究会・事務局
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国士舘大学・木原英逸

 
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